胃腸病と食事
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胃腸病と食事の関係
管理栄養士 鈴木久美子の「健康の泉」



繊細な胃や腸を守る!

「アンバランスな食事」「過労やストレス」「飲酒・喫煙・運動不足」 このようなことが続くと胃や腸は自己防衛しきれずに 種々の症状をおこして危険を知らせます。 「胃の調子がよくない!」「下痢や便秘が頻繁におこる」などの症状は危険信号! 不規則な食生活や喫煙・過度の飲酒などは 消化器系の病気の原因となります。 また 現代社会に多い「ストレス」で 胃や腸は大きな影響を受けています。

ストレスから 解放の方法を考え直して見ることも 消化器系の病気の予防となります。
<胃や腸がかかりやすい病気>
� 消化性潰瘍
� 慢性・急性胃炎
� 過敏性腸症候群
� 便秘・下痢

【 消化性潰瘍 】
胃液の働き
胃液は 強力な消化作用を持っています。 胃液の主成分は 塩酸とペプシンと水で ペプシンは蛋白質を分解する消化酵素のひとつです。

この胃液は 強い酸性で 食べ物を消化するために重要な働きをしますが これは食べ物ばかりでなく ときには胃や十二指腸の壁(粘膜)まで溶かしてしまいます。これが 胃や十二指腸など消化性潰瘍の原因となります。

消化性潰瘍
食道・胃・十二指腸・小腸・大腸などの消化器管は 自律神経にコントロールされています。 そして その自律神経はストレスの影響を非常に受けやすい器官です。

胃壁は 普段は粘液によって覆われ守られていますが ストレスなどの原因でこの防御のバランスが崩れ傷つき 消化性潰瘍をおこします。

自分の 胃液で壁を消化してしまうのです。 ストレスがかかると まず大脳皮質が刺激され 大脳の下にある視床下部に伝達され そこから出ている迷走神経の働きによって 胃液の分泌が活発になります。 同時に 視床下部からから出ている内臓神経も興奮し 胃の血管を痙攣されるため血流が悪くなります。 胃を保護している粘液は 血液によって運ばれ 粘膜から分泌されています。 そのため血液の流れが悪くなると 粘液の分泌が低下し 粘膜の保護作用が崩れるのです。 このように 胃液の分泌が増え 保護作用が低下すると 胃壁や十二指腸の壁が傷つきえぐられ 潰瘍ができるのです。

<消化性潰瘍になりやすい人>
� きまじめで完壁主義
� 責任感が強い
� 気が弱くて すぐ反省する
� 職場や家庭でいつもストレスを抱えている
 ヘビースモーカー
� 食事が不規則 朝食は食べない

消化性潰瘍と食事のポイント
� 食事は 十分栄養があり 消化の良いバランスのとれたものが望ましく また食塩を多く含むんだ食品やコーヒー・ア ルコールは控えます。
� 香辛料は控えめにします。
� それに加えて 規則正しいこと。

一回の摂取量を少なくし 回数を多くします。
� あまり冷たい物や熱すぎるものは避け 楽しい雰囲気でゆっくり食べることが大切です。
� 飲酒・喫煙は控えます。
� 消化性潰瘍は 再発が多く見られるので 生活はできるだけ規則正しく 睡眠は十分摂ることも食事と同じように
 重要です。

胃腸をいたわるポイント
<ポイント9>
� ストレスを溜め込まない。趣味やスポーツなどで気分転換する
� 刺激性の強い食べ物を控える。とうがらしやわさび・辛しなどの香辛料
 刺激の強い食品の摂りすぎに気を付ける。
 柑橘類・カフェィンの入った飲料はほどほどに!
� 消化の良い食品を摂る。

胃腸が疲れている時は
軟らかい物・食物繊維の少ない物 胃の停滞時間の短い物を選びましょう。
また 油の多いフライ・天ぷら・中華料理などは避けたいものです。
よく噛み ゆっくり食べることも大切です。
� 消化のよい調理法を工夫して!
生卵よりも 半熟卵の方が
御飯よりお粥の方が消化がよくなります。

� 規則正しく食べる
食事の時間を決めて
一日3回 規則正しく食べる習慣は胃腸をいたわります。
� 野菜をしっかり摂る

緑黄色野菜を中心に野菜類にはβ-カロチン・ビタミンC・Eが豊富に含まれ
これは体内で 活性酸素の害を防ぎ ストレスから体を守る働きを強化します。
� 十分な睡眠を!
休養は 胃腸にとっても大切です。
睡眠時間はしっかりとるようにしましょう。
� 禁煙する!
タバコは血液の流れを悪くして
粘膜の働きを弱めます。
禁煙を心掛けましょう。
� 適度に運動を!
適度な運動によって血行がよくなり
胃腸を守る粘液の分泌が良くなると同時に ストレスが解消されます。
生活に運動を取り入れる工夫を!

<消化性潰瘍に適した料理>
� 主食・・煮込みうどん・雑炊・粥・卵粥
� 主菜・・・煮魚・豆腐料理(湯豆腐など)・卵料理(腕蒸し・温泉卵・巣ごもり)・蒸し物・煮物・焼きもの・鍋物
� 副菜・・・お浸し・煮浸し・柚子香和え・味噌和え(かけ)
� デザート・・・果物のコンポート・焼きりんご・果物缶・バナナ・ババロア・プリン
� 汁物・・・味噌汁・くず汁・ポタージュ

【 過敏性腸症候群 】
過敏性腸症候群と便秘
不安や緊張が続いたり ストレスが多いイライラした生活を続けていると 胃や腸は精神的なストレスに敏感なので 下痢や便秘を交互に繰り返す「過敏性大腸炎」を引き起こします。 また 普段 根菜類・芋類・葉菜類・海藻類などを摂らないために 「食物繊維」が不足する食生活を続けていると 便秘になりがちとなり 腸内に有害物がふえるなどの悪影響にも繋がるので食事の内容にも注意が必要です。

便秘を防ぐ食事
便秘の食事の基本は 高残査食です。
一定量の 不消化物を食べると 不消化残査が大腸壁を刺激して 腸の蠕動運動を高めます。
一般に 体重1kg 当たり約1g という目安もありますが 便秘の治療としてこれより多くとらなければならないこともあるようです。

普通は 食物繊維として 10~15g くらいは摂るようにします。
食物残査の大部分は不溶性食物繊維で 中でも穀類や野菜に多く含まれる「セルロース」が重要です。

多く取り入れたい 繊維の多い食品としては・・・・
玄米・麦・生野菜・オートミール・コーンフレーク・山芋・さつまいも・里芋・胡麻・アーモンド・くるみ・栗・銀杏・大豆・小豆・納豆・ウズラ豆・味噌・干瓢・ピーマン・ゴボウ・サヤインゲン・にら・筍・人参・もやし・セロリ・かぶ・キャベツ・小松菜・苺・柿・ブドウ・リンゴ・レモン・バナナ・桃・きのこ・海藻一方 胃や大腸機能を高めるために・・・ 冷水・ジョース・冷たい牛乳・ヨーグルト・・・・・・・・・・を摂ることも効果的です。

下痢
一般に 急性の下痢は 食中毒や感染症のものが多いのですが 慢性的な下痢の原因は多種多様で 腸の炎症性疾患によるものよりも 現代ではストレスからの過敏性大腸症候群や消化吸収障害によるものが多いと言われます。
また 脂肪の摂り過ぎやアルコールの飲み過ぎによって下痢をおこすこともあります。

それ以外にも 食品アレルギー・乳糖不耐症(牛乳を飲むと下痢をする)など特定な人が持つ体質によって起こる場合もあります。
食品アレルギーでは 魚介類・卵・牛乳・そばなどを原因として起こり 乳糖不耐症では 牛乳や乳製品に含まれるラクトース(乳糖)が原因で下痢の症状を起こします。

下痢の時の食事
腹痛の伴う急性の下痢のひどい時は はじめの1日くらいは 絶食にします。
ただし 水分の補給は十分にしなければいけません。
その後は 状態に応じて流動食から 普通食へとだんだんに戻していきます。
慢性の下痢の場合は 一日の脂肪摂取を減らし 20~30g/日くらいにします。
また 下痢が長く続くと 水分・電解質(ミネラル)・ビタミンなどが不足する状態となるので補給が必要となります。(水・薄めたジュース・電解質の補給できる飲料)
必要なときは 補液を点滴します。

<ストレスに強くなる>
� 人の評価を気にしない
「自分は自分」とマイペースに構え 他人からどう思われているか気にしない
� 別の事に目を向ける
イライラするとき 趣味など楽しいことを考えるようにする
� 大声を出す
感情を押さえ込まず 大声を出すとストレスが解消できる
今日できないことは明日に回す
ダラダラと仕事を続けても能率が上がらないもの。
翌日すっきりした気持ちですると効率がよくなる。

� 開き直ってみる
思い悩むことより 開き直ってみると前向き思考になれる



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